アストロイド
あすとろいど
大脳をも機械で置き換える、機械化人間の究極の理想とうたわれているもの。
当然大脳をそのまま人工頭脳に置き換えたものでは、その人間に似せた完全人造
人間(ロボット)を製作したに過ぎないので、アストロイドでは、人間の「意識」
を生身の身体から取り出し、それを人工頭脳に「移植」するということを目標と
している。それにより機械化において霊体(astral)の連続性を保つ、または霊体
を機械体に移す、ということが語源となり、アストロイドと命名された。
(実際のところは、「スピロイド(魂を持った人造人間)」が既に機械化人間の意
味で使用されているため、何とかastralの単語を持ち出して作り上げた名称のよ
うである。)
当然、霊体のように「意識」を考えることへの反発や、その「意識」を操作する
など出来るわけが無いという意見が殆んどで、学会では全く相手にされてはいな
い。 > スピロイド
アングラ
あんぐら
アンダーグラウンド。
21世紀の東京では臨海地区の開拓が大きく推められ、さながら東京湾を海洋都市
にするほどの勢いであるが、その半面、東京の内陸部の一部では都市再開発が見
送られる等の理由で、行政に放置される区域が現れはじめ、それが徐々にスラム
化していき、次第にアングラと呼ばれるようになっていった。
アングラは様々な犯罪集団の巣窟でもあるので、日々犯罪が絶えない無法地帯と
なっている。一部の集団は武装するまでに至り、「戦闘」が起こることもしばし
ばである。このような武装集団の多くは人造人間を利用しているため、生身の警
官隊では彼らに太刀打ち出来ず、長い間これらの集団を野放しにせざる得なかっ
た。
アンドロイド
あんどろいど
人間にそっくりの姿形をし、よく似た振舞いをするロボットや知的生命体
(講談社「日本語大辞典」)。
人造人間工学の立場では、当初は完全人造人間のことをアンドロイドと呼んでい
たが、機械化人間がスピロイドと命名されてからは、改造人間(特に機械化人間)
に対してもアンドロイドと呼ぶ風潮が広まることとなった。
入れ歯すら認めない
いればすら-みとめ-ない
過激な純粋主義の姿勢を端的に表した言葉。実際に入れ歯まで糾弾した純粋主義
団体があるかどうかの真意は定かではないが、それだけ純粋主義の活動がヒステ
リックであったことがうかがえる。
ARP
えい-あーる-ぴー
「人造人間研究開発プロジェクト」のこと。
Android Research Project の略称。
改造率
かいぞう-りつ
肉体を人工部品で置き換えた割合。以前は単純質量%(全身の質量における生体
部品質量の割合)等、様々な尺度が使用されていたが、21世紀中頃より生体重要
度数法により算出される改造率が、公式な改造率基準として法令等で用いられる
ようになった。
改造レベル
かいぞう-れべる
改造人間の改造の度合を計る目安。改造率の違いにより5段階がある。
レベル A : 改造率85%以上。大脳の一部/全部及び卵巣/精巣のみ生体部品。
レベル B : 改造率70〜85%。大脳、生殖器、一部の臓器を流用した改造体。
レベル C : 改造率50〜70%。内臓のみ人工、または両腕両脚を義肢としたレベル。
レベル D : 改造率30〜50%。複数の内臓もしくは四肢を人工部品にした人体。
レベル E : 改造率10〜30%。体内の臓器・機関の一部、片腕もしくは片脚を義肢
にした程度。
レベル F : 改造率10%未満。ほぼ生身の人間。人工部品は入れ歯・カツラ程度。
擬人加工
ぎじん-かこう
人造人間の外見を、生身の人間と同等に見えるようにする処理。全身に対して
擬人加工を施すことを特に完全擬人加工と呼ぶ場合がある。
但し、人造人間かどうかを識別しやすくすることを理由として、特別な場合を
除き完全擬人加工は法律で禁止されており、とある改造人間の団体はこれを改造
人間への差別として反対運動を繰り広げている。
QoL
きゅう-おう-える
Quality of Life の略。人体改造におけるQoLでは、改造を施された人がどの位
生身の人間と同様の生活(食・睡眠・性etc.)を営むことが出来るかについての
議論となる。
サイボーグ
さいぼーぐ
Cybernetics Organism が語源。一般的には肉体の一部または大部分を人工部品
で置き換えた人間のことを示す言葉として知られているが、それは広義の意味で
のサイボーグであり、21世紀中頃になると、具体的に改造レベルB以上かつ身体
機構が生体構造を模造したもの(人工臓器により構成)を正式にサイボーグ(狭義
のサイボーグ)と呼ぶようになった。
サイボーグ・タトゥ
さいぼーぐ-たとぅ
人造人間であることが識別出来る、もしくは機械体であることを強調させるため
に施された、身体表面上の特徴。体内の機械が見える窓、金属部品との直結部、
関節などで機械が露出している部分等が、いずれも相当する。完全人造人間や、
改造レベル C 以上の改造人間は、身体表面のどこかにサイボーグ・タトゥを付
与することが義務付けられている。完全人造人間でもサイボーグ・タトゥと呼ぶ
のが一般的である。
一部の改造人間団体では、これを改造人間への差別として義務の撤廃を求めてい
るが、2050年以降の人体機械化ブームにおいては、個性的なタトゥを付けること
が若い女性の間で流行となっている。
→ こんな感じ
CT
しー・てぃー
サイボーグ・タトゥの略(Cyborg-Tatoo)。
死体脳
したい-のう
死亡認定された人より取り出された脳。法律的には「死亡」していても、死後長
時間経過していなければ、的確な脳蘇生療法による脳蘇生が2000年代後半で既に
可能になっていたため、21世紀初頭には、この死体脳によって大脳生命維持及び
脳信号変換回路の研究が活発に行われていた。
一般に死体脳は生体脳より脳損傷度が高いが、バイオコンピュータ技術の発達に
より、2040年代には一般の改造人間と変わらない脳機能を有するまで補完するこ
とが可能になっていたため、事実上死体脳を用いた「戸籍を持たない」機械化人
間を製作する事が可能であり、これらを用いた犯罪的行為が大きな社会問題となっ
ている。
他にも、倫理面から死体脳を使用することに反対する意見や、死体脳が利用可能
な段階ならば死と認定するべきではないと主張する意見、また逆に死体脳を様々
な機械の制御装置に積極的に活用すべきといった意見など、死体脳の問題には様々
な考え方が飛び交っている。死体脳による脳生命維持機能の研究も、当初は社会
的影響を考慮してそのほとんどが極秘であった。死体脳の問題が世間に大きく
クローズアップされるようになったのは人体改造が盛んになってきた2050年代
頃からであり、死体脳の研究のおかげで人体改造技術が大きく発展したとも言え
なくもないため、この問題は簡単には解決しそうにない。
14歳の死
じゅうよんさいの-し
世界的な出生率低下と、未成年者の生存率低下を端的に表現した言葉。実際、
2020年以降の未成年者に限った平均寿命は14歳前後となっている。
そのため、延命のための人体機械化を施すのは14歳の頃が多く、21世紀における
「14歳」の特別な意味をより強調している。
純粋主義
じゅんすい-しゅぎ
2000年頃ヨーロッパで発生し、21世紀中期より世界的に広まった、人体改造を排
除する思想。
キリスト教的思想が土台となっており、神より授けられた肉体に手を加えること
自体を悪とする。
一部の過激派によって人体改造工場爆破事件や改造人間狩り等が引き起こされ、
大きな社会問題となっていった。
人格死
じんかく-し
改造人間用の脳などで、記憶の消去・人格改変等で改造前の人格を失ったもの。
ただし、人格死と認められた人の過去の記憶・人格が突然復活するといった事例
も報告されており、「完全」に人格消去を実現出来てはいないとも言える。
改造前と大きく異なる人格・記憶の改変は正当な理由による認可が必要であり、
これを違反すると殺人罪相当の重罪が科せられる。けれども死体脳ではその脳が
個人の「所有物」であれば、これが適用されないという問題がある。
人格死刑
じんかく-しけい
20世紀後期より続く死刑廃止論のもと、重犯罪者に執行する極刑として採用する
国が21世紀中頃より現れた。刑としては、記憶・人格の大幅改変により「人格死」
状態にすることを指す。
人研プ
じん-けん-ぷ
「人造人間研究開発プロジェクト」の日本語スラング略称。
人工子宮の子
じんこう-しきゅう-の-こ
人工子宮もしくは胎児培養装置で妊娠期間を経て生まれた子のこと。改造人間の
子とほぼ同義。
人体改造技術が発達し、胎児を人工的に培養することが可能になり、改造人間や
機械化人間も自らの子を得ることが可能になったが、人工的に培養されて生まれ
た子の先天性疾患及び四肢障害の確率が、通常妊娠を経た子に比べて1000倍以上
になるという問題が2040年頃に報告され、以後この確率がなかなか減少しないと
いう現実に悩まされることとなる。
それに加え、人工培養による子の生後の疾病発生率が極端に高く、その結果延命
策として機械化される割合も、生身の親から生まれた子より非常に大きい。
結果として、「人工子宮の子」と言った場合、「疾病持ちの貧弱な子」「もうす
ぐ死ぬか機械になる子」という差別的な意味あいを持つことになった。
> 14歳の死
人工臓器のかたまり
じんこう-ぞうき-の-かたまり
生体機構を有した改造人間(サイボ−グ)または人造人間を示す俗称であるが、
人工臓器の開発及び安定性の向上がなかなか進まない現状のため、この言葉は徐々
に「未完成品」「不安定な存在」という侮蔑的な意味合いを持つようになった。
スピロイド
すぴ-ろいど
機械化人間の別称。人体の機械化、すなわち生体機構を模造しない構成(人工臓
器を用いない)で人体改造を施された人を示す言葉である。
全身に改造を施した人間を全て「サイボーグ」と呼ぶには、機械化人間の体構造
は「人工臓器のかたまり」に比べてより「ロボット」に近く、両者の違いを明確
に区分するためにも機械化人間を特に指す言葉が必要になり、
「Spiritual Android - 魂を持った人造人間」の略称として考案された。
生体残存質量率
せいたい-ざんぞん-しつりょうりつ
改造率評価のための算出方法として使用されるものの1つ。単純質量%とは異な
り、改造前の1個体の質量に対する、改造後に残された生体部分の質量の百分率
により求められる。
現在では、より生体「部品」の「機能」を評価するのに適した生体重要度数法が
改造率評価に使用されることが多い。
生体重要度数法
せいたい-じゅうよう-どすう-ほう
客観的な改造率評価のために定められた改造率算出方法の1つ。1個体を構成する
全ての器官に、生体としての重要度によりポイントを振り分け(全体で1000ポイ
ント)、改造により人工部品に置換した部分の器官のポイント数を減じていき、
改造率を求めるというもの。
本算出方法を用いると、大脳及び卵巣/精巣のみの機械化人間は改造率91.5%以上
となる。
ちなみに本算出方法では、残存した生体部品の総ポイントに大脳の有無(0:無、
1:有)が積算されたものが最終的なポイントとなるため、大脳が一切使用されな
い場合、他の部分で生体部品を用いても改造率は100%となり、人間とは認められ
なくなる。
セミサイボーグ
せみ-さいぼーぐ
改造率の低い改造人間を示す言葉。主に改造レベルC,Dの人を示す。
改造レベルE以下の人にはこの言葉はあまり用いられない。
(法律的には改造レベルEまでが「人体改造を施された人」に分類される)
男性不要論
だんせい-ふよう-ろん
メカトピア主義の過激派の一部が主張して有名になった思想。彼ら?の主張する
機械化人間の理想郷では、クローン技術を用いて機械化する人間を生み出すこと
をうたっていることから、基本的にクローン技術では女性のみでクローンを製作
することが可能であるため、男性は理想郷から見捨てられた存在、という論法で
展開される思想である。
男性不要論がいつから主張されたかは定かではないが、メカトピア主義が発生す
る以前の21世紀初頭に、クローン技術の発達とともに同様な男性不要論を展開す
る急進派のフェミニスト団体が存在していたことから、これらの過激派フェミニ
ズムの一部がメカトピア主義に流れた証拠ではないか、と注目する見方がある。
ちなみに純粋主義の立場では、男性主導の社会が前世紀の騒乱を生み出したと糾
弾し、母系こそが生命の正当であり、男性は生命を生み出す女性に隷従すべき存
在であると主張している。21世紀は男性にとって住みにくい時代なのだ(哀)。
電子頭脳
でんし-ずのう
元々はトランジスタ等で構成されたコンピュータや人工頭脳のような、生体脳の
対義語として用いられてきたが、バイオ・コンピュータの発達とともに、これに
対しても電子頭脳と呼ばれるようになった。ユニット独立性が高く、コンピュー
タ部の多いバイオ・コンピュータが一見人間の脳には見えないこと、またはそれ
に由来するメカアピールがその理由であると考えられている。
ドール
どーる
10〜20代前半の女性型の戦闘用人造人間または機械化人間。これらがドール
(人形)と呼ばれるようになった時期は定かではないが、2040年代に活発に活動し
ていたあるメカトピア主義の過激派団体が、ドールという名の機械化少女戦闘兵
を所有していたのがその由来とする説がある。
なお、核融合エネルギー炉等により超高出力・高耐久性を実現させたドールは特
にエクスドール(Extreme Doll)と呼ばれる。
バイオ・コンピュータ
ばいお-こんぴゅーた
改造人間、特に機械化人間の脳ユニットのことを示すが、一般的には大脳にコン
ピュータを接続した構造、もしくは生体脳部品を持つコンピュータで、ある程度
のユニット独立性を持つこと(ユニット単体での大脳生命維持機構を有する)が、
バイオ・コンピュータと呼ばれる基準となっている。
バイコン
ばいこん
バイオ・コンピュータの略。
フルアート
ふる-あーと
一切の生体部品を持たない、完全人造人間を示す言葉。
語源は「Full Artifitial - 完全な人工物」。
一言に完全人造人間と言ってもその構造は様々で、完全にメカニカルな構成
(ロボット的)のもの、サイボーグのように生体構造を持つもの(脳は人工頭脳)等
があるが、基本的にフルアートと呼んだ時点で、その存在が「人間ではない」と
いう意味が確定する。
フルアートサイボーグ
ふる-あーと-さいぼーぐ
生体構造を有した完全人造人間を示す言葉。
構造的には人工頭脳を持った「人工臓器のかたまり」ということになる。
メカアピール
めか-あぴーる
「自分が改造/機械化された存在であること」を敢えて強調すること。
2050年以降の人体改造・機械化ブームの頃から、人体改造や機械化を受けた10〜
20代女性が自分の改造体をファッションの一環として強調するようになり、必然
的にその行為がメカアピールと呼ばれるようになった。
具体的には、サイボーグ・タトゥを目立たせたり、喋り方を「ロボット喋り」に
すること等が挙げられる。
メカトピア主義
めかとぴあ-しゅぎ
人体の機械化を極端に賛美する思想。
機械化人間を人類の知恵と技術が生み出した新しい人類の姿とし、全ての人類を
機械化人間にすることを最終目標とする。
2040年代の日本では、メカトピア主義の過激派「機装天使革命戦線」が日本を機
械化人間の理想郷にするために革命を起こすべきだと主張し、事実革命に向けた
テロ事件も多発させ、当時拡大し始めた純粋主義の過激派によるテロ事件と併せ
て大きな社会問題となっていた。
メカ娘
めか-むすめ
若い女性型の人造人間や改造人間・機械化人間のこと。
「人造人間研究開発プロジェクト」の主要な研究課題である(笑)。
メタルブレイナー
めたる-ぶれいなー
警察庁が2050年に正式採用した、人造人間及び改造人間の機動隊員の愛称。それ
以前にも警視庁などでは人造人間で編成された機動隊が存在していたようである
が、公式には発表されておらず、試験的運用と思われる。一般公募により
「メタルブレイナー(Metal Brainer)」という名前が選定された。
ラブチューター
らぶ-ちゅーたー
性教育実習に使用される人造人間。
出生率低下への対策の一環として、性意識の向上のために若年のうちに性行為の
実習を行う国が現れはじめ、その実習用に開発された。
男性/女性型の2種があり、基本的にラブドールと同じ構成。
ラブドール
らぶ-どーる
売春用の人造人間、もしくは改造人間。世界的な人工減少と人造人間技術の向上
を受けた各国で、性的指向の向上策の一環として、完全人造人間及びレベル A
の改造人間を用いた売春行為を容認する動きが強まり、ラブドールが製作される
ようになった。
一般の改造人間に比べて、性的指向が強くなるように精神改造が施されており、
また性感帯の感度も強く、様々な性戯がインプットされている。
当初は売春用人造人間の代名詞であったが、セックスアピールのひとつとして、
ラブドールと同様の性的能力を有した機械体(ラブドール仕様)を持つことが、若
い女性の間で流行するようになった。
なお、女性型だけではなく、男性型のラブドール(ロミオ・ラブドール)
も存在する。
臨死体験
りんし-たいけん
前世紀では一時ブームになった臨死体験だが、人体改造が普及しはじめた2050年
頃にも、にわかにブームになり始めた。つまり、改造中もしくは機械化中に、
被術者が見たり体験したりしたモノに関する話題である。
改造中は、大脳のバイコン化という過程があるため、確実に「脳死に近い状態」
を通ることとなる。この様な意思が無いはずの状態の時に、さまざまな経験をし
た、という証言が多くのメディアで紹介されたりしたのである。
これらの体験が、完全に機能停止していない大脳による効果なのか、本当に死後
の世界の体験かは一般的にはそれほど言及されていないが、ごく一部の研究機関
では、完全機械化人間(アストロイド)の実現のための「意識」の存在の証明に役
立つかもしれないと、注目している所もあるそうだ。
ロボッ娘
ろぼっこ
古くは少女や若い女性型のロボット(完全人工製)を広く指し示す言葉であったが、
人体改造ブ−ムを受けて増加した10〜20代の女性についても、自称・他称を問わ
ず「ロボッ娘」という呼び名が用いられるようになった。
ロボット
ろぼっと
(1)
チェコスロバキアの作家チャペックによる造語。人造人間や、自動機械人形を示
す言葉として、広くSF小説で用いられてきた。
その後20世紀後半頃より、特定の作業及び操作を行う自動機械・装置が発達する
と、それらはロボット(産業用ロボット)と呼ばれるようになった。
(参考:講談社「日本語大辞典」)
元々の「人造人間」としての意味合いの「ロボット」は長らくSF世界のみの言葉
であったが、20世紀末に日本の企業が人型ロボットを開発・発表して以来、徐々
に本来のSFの「ロボット」が現実の存在となっていった。
(2)
改造人間のこと。
「ロボット」という言葉は、「他人の意のままにあやつられる人のこと」の隠喩
として用いられることがあるが、改造人間のことを「ロボット」と呼ぶ時は、こ
の意味合いを含む場合や、または改造率が高くて「とても同じ人間とは思えない」
というニュアンスが含まれる。実際、改造度の高い改造人間はコンピュータによ
る脳機能補完が必須であり、実質脳機能補完プログラム次第でその人を操作する
ことすら可能であるので、改造人間の中には「ロボット」と呼ばれることを嫌う
人も多い。
(3)
2050年以降の人体改造ブームの頃より、改造人間の中には「ロボット」を自称と
して用いる人が、特に10代の改造人体を持つ女性を中心に増加してきた。
改造を受けた女性が自分のことを「ロボット」と呼ぶ人が多いのは、「ロボット」
という語幹が、「サイボーグ」や「スピロイド」よりも親しみを得やすく感じる
人が多いからではないか、と考えられている。また「ロボット」には(2)のよう
な悪い意味合いもあるが、彼女達にとってはそれも「メカアピール」となるよう
である。
ロボット喋り
ろぼっと-しゃべり
普通の人間の喋り方とは異なり、ひと昔前の人工音声を思わせるような喋り方。
特徴としては、電子音のような声質、抑揚・アクセントが無い、
単語や文節を切れ切れに発声、などが挙げられる。
21世紀には人工音声技術が発達し、
人工知能でも人間と同様に流暢かつ自然な喋り方
(息継ぎも再現する等)が出来るようになっていたものの、
2050年以降の改造ブームの中で、
メカアピールとしてわざわざロボット喋りしか出来ないように改造された
10代女性が多く見られるようになってきた。
|