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 彼女の身体に、電気が流れて来る。
 
  それは、彼女にとっての、「血」であり、金属の「肉」を潤す。 
  
 
 
 
 
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 開かれた脾腹に見える物は、少女がもはや「人」ではない証とも言える。
 
  それは、人の手で造られた「命」。 
  人の手が創り出した、もうひとつの、崇高な存在。 
  
 
 
 
 
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 彼女は、自らの「身体」が組み上がって行く様子を、
  あたかも喜んでいるかのように見える。
 
  しかし、それは彼女を見ている側の、欺瞞。 
  機械になる事への真の喜びは、彼女だけにわかるもの。 
  
 
 
 
 
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 そして、少女はもう一度、産まれた。
 
  少女はこれからも、これまでと同じく想い出を積み重ねて行く。 
  ただ、デバイスが異なるだけだ。 
  機械の目で見、機械の心で感じ、機械の腕を広げ、機械の脳で記憶を残す。 
  
 
 
 
 
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 時として、死から再生出来た直後に、
 
  再び死が訪れることもある。 
  しかし、今の彼女にとって、 
  その「死」は単なる「停止」であり、 
  「滅亡」ではない。 
 第2の子宮………
 
  そこは第3の誕生をも与えられる場所。 
  
 
 
 
 
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 機械になることは、自分を解き離すことでもある。
 
  しかし、それは自分を失うことではない。 
  ……機械になっても、「自分らしさ」は失わない。 
  そんな情熱が、彼女の冷たい機械の瞳から感じられる。 
  
 
 
 
 
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 これまでは、ただ夢でしかなかったことでも、
 
  実現させることが出来るかもしれない。 
  そう、無限の可能性を引き出すことも、手術台では可能になる。 
  
 
 
 
 
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 本来、子宮とは、あたたかく、やわらかい場所。
 
  少女は再び、やわらかい子宮に抱かれながら、 
  硬い金属の身体へと変貌していった。 
  
 
 
 
 
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